ポルトガルのぶどう品種
お客様に「ポルトガルのワインの特徴は?」と聞かれることがよくあります。 そういうときは、「当たり外れがなく、ポルトガルの自国品種を使っていること」と お答えしています。 中には中世にそのルーツがあると考えられるような品種もあるようで、 そんなポルトガルの自国品種の中から、代表的な品種を少しずつ写真付きで ご紹介していきたいと思います。
北部のぶどう
まずはポルトガルを代表するといわれるトウリガナシオナルTouriga Nacional、 色が濃く、タンニンも豊富で、力強く、熟成によって香り高いワインとなる最高品種。ティンタ・ロリス(Tinta Roriz)は南部ではアラゴネス(Aragonez)、スペインではテンプラニーリョ(Temporano)と呼ばれ、濃い色で洗練された上品さを持ち、後味が良く残る優良品種。 トウリガ・フランカ(Touriga Franca=Touriga Francesa)、香気豊かで上質、 ティンタ・バロッカ(Tinta Barroca)、頑健でドウロの厳しい気候に耐えるタイプ、これらは、主にドウロで生産されている黒ぶどうです。
Touriga Nacional
Tinta Roriz
Touriga Franca
次は、ヴィーニョ・ヴェルデ地方で、すっきりと飲みやすいヴィーニョ・ヴェルデ、あるいはしっかりした白ワインに用いられる品種 です。
アルヴァリーニョ(Alvarinho)果粒はややピンクを帯び、香り高く、エレガントな高級品種。アルコール度数も高く、重厚、食事とともに最高に楽しめるワインとなります。 ロウレイロ(Loureiro)調和のとれた香りのよいワインができる、豊産の優良品種。 トラジャドウラ(Trajadura)繊細なアロマ。アザル・ブランコ(Azal Branco)酸が強い。 アリントArinto味は濃厚。 アザル、アリントとも、典型的な若々しい風味のワインになります。
Alvarinho
Azal Branco
Loureiro
Arinto / Pedernã
Trajadura
中部のぶどう
中部はダンやバイラーダ地域を擁する、古くから農産物や手工芸品で知られた地方です。19世紀後半、すでにダンワインはポルトガル第一のテーブルワインとして認められたという、長い歴史をもっています。赤はトウリガ・ナシオナル(Touriga Nacional)、ティンタ・ロリス(Tinta Roriz)など北部のぶどう品種でご紹介した品種のほか、濃い色で、糖度の高いアルフロシェイロ(Alfrocheiro)、やや濃い目の色調、低酸でワインをソフトにするときに用いられるジャエン(Jaen)などがあります。
Alfrocheiroと
Caves Arcos Do Rei会長
Jaen
白のエンクルザード(Encruzado)は、収穫量は低いですが、バランスのとれた香り高いワインが造られます。また、ビカル(Bical=Borrado das Moscas)は、酸が高く、アルコール度数も高いワインとなります。セルシアル(Serceal)は豊産で充分な酸をもち、糖度はやや低めです。白のマリア・ゴメス(Maria Gomes=Fernao Pires)は、バイラーダではスパークリングワインに向き、リバテージョでは辛口の樽熟成のワインに使用されますが、貴腐に依る甘口のワインにも使われる万能型のぶどうです。収穫期が早く、収量も多く、香り高い個性的なワインとなります。バイラーダ地域の白としては、ビカル(ダン地域のぶどう参照)、ラボ・ドヴェーリャ(Rabo d' Ovelha)、アリント(Arinto)などもあげられます。
Encruzado
Maria Gomes
バイラーダ地域の土壌は粘土質を主体に、石灰岩質が混在していて、バイラーダの名前は粘土(Barro)と地区(Bairro)に由来しています。代表的な赤の品種は何と言ってもバガ(Baga)です。バガは「ベリー」の意味で小粒、濃色、果皮の厚いぶどうです。ワインも濃色で、果実香が強く、酸とタンニンが強く、長期熟成に耐えるものになります。他にはカステラン(Castelao)があります。
Baga
アルフロシェイロの使われているヴァスコ・ダ・ガマ・ダン赤、バガ100%にはのイッシモがあります。マリア・ゴメスはヴァスコ・ダ・ガマのブリュットなどのスパークリングでお楽しみいただけます。
南部のぶどう
テージョ川の向こうという意味のアレンテージョは国土の三分の一を占める広大な地域です。北の風景とはまた違って、豊かな穀倉地帯が広がり、家畜の群れが草を食み、コルク樫の点在するのどかな景色です。この地域で使われているぶどう品種の代表的なものを挙げてみましょう。
アラゴネス(Aragonez)、トリンカデイラ(Trincadeira=Tinta Amarela)は乾燥した地域で栽培されている非常に果実味があり、濃厚な味わいが特徴です。アリカント・ブーシェ(Alicante Bouchet) フランス産のぶどうで、必ずしも評価は高くなかったのですが、20世紀初頭にポルトガルにやってきてから、真価を発揮しました。特に、暑く、乾燥したアレンテージョでアラゴネスやトリンカデイラをブレンドする際の「風味付け」のような役割を果たしています。カステラン(Castelao=Periquita, Joao de Santarem, Casteao Frances)はペリキータと一般的に呼ばれていますが、これはもともと、アゼイタオンにある農場の名前に由来するものです。現在では混乱を避けるため、公式名はカステランとなっています。やはり、南部地域で生産されるぶどう品種で、凝縮された果実味、酸も感じられるガーネット色のワインとなります。
Aragonez
Trincadeira
Alicante Bouchet
Castelão
白はロウペイロ(Roupeiro=Siria)はフレッシュで香り高いワインとなり、アンタオン・ヴァス(Antao vaz)はアレンテージョにおける重要な品種です。エレガントなアロマのミネラルの感じられるワインとなります。 ラボ・ドヴェーリャ(Rabo d' Ovelha=Rabigato)は果房は大きく、早熟で収穫期が早く、糖度の高い果実をつけます。
Roupeiro
Antão vaz
Rabo d' Ovelha
ポルトガルワインは「あたりはずれ」がないことも特徴のひとつ。ほかの国のワインとはちょっと違う味わいです。ポルトガルの自国品種を使ったワインを地域ごとに召し上がっていただくのも楽しいですね。北部、中部、南部とどうぞ飲み比べてみてください。
- 写真提供
- Aveleda S.A.
- Caves Arcos Do Rei
- Adega de Borba
- 参考文献
- ポルトガル投資・貿易振興庁 「Wines of Portugal」「Portuguese Grape Varieties」
Aveleda S.A. 「Recommended Grape Varieties from Portugal」
Caves Arcos do Rei 「Wines of Portugal」
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